1997年9月20日作成
2021年1月11日更新
Hidekazu Ido
wellchemlab(atmark)yahoo.co.jp
新
しい周期表
『
フラクタル元素表』
-
Fractal Table of Elements -
素粒子から重元素までフラクタルに並んだ新しい周期表です。
従
来の長周期表にはない特徴があり、ながめるだけで新しいアイデアがわくかもしれません。
公開技報 2021-500018
1.
はじめに
長周期表をはじめとする周期表は化学、物理、生物などの科学分野で広く用いられている。それは元素を原子番号順に並べた表
であり、原子の電子配置に基づく化学的特性をよく表している。しかし、化学的特性の類似性や典型元素と遷移元素の配置、原子核の安定性について十分に表現
できないことがある.フラクタルな構造を持つ元素表は、上記問題点を大きく改善し、周期表の機能を拡張する。
長周期表では化学的性質の周期性に対応する7つの行(周期)に主に
注目して元素が配列されている。これに対しフラクタル元素表では元素の族が類似の化学的性質を持っていることに着目して、族を基本単位としたフラクタル構
造を形成することにより、元素間の新しい関係を明らかにした。
2.
従来の周期表(長周期表)の構造
・長
周期表の特徴
-
長周期表では元素が原子番号順に周期単位で並んでいる。
-
化学的性質の類似した元素が縦に並ぶ。
・長
周期表の課題
- 元
素は表の左からs、f、d、pブ
ロックの順に分類されていて、方位量子数の順とは異なる。
-
表は周期単位で配列されるため、1族 と18族
が離れてしまい、連続性がない。
-
典型元素が遷移元素により1〜2族
と13〜18族に左右に分断されている。
-
原子価の類似した典型元素と遷移元素(例 えば、5族
と15族、7族 と17族
など)の位置が離れているため、そ れらの類似性が表現されていない。
-
ランタノイド、アクチノイドが別の表に記載されている。
-
原⼦核
の殻模型は考慮されておらず、マジックナンバー(2、8、40、50、82、114)
は元素の配列に表れない。
参考図 長周期表(IUPACの周期 表を参考に作成)
3.
フラクタル元素表
(1)
フラクタル元素表の構造と化学的性質
・
そこで、化学的類似性が分断なく表現できる元素表の構造を研究した。
・
近似的にフラクタルな図形は、自然界のあらゆる場面で見出され、自然の本質に関係していると思われるため、元素表にフラク
タル構造を適用することにした。
・
化学的性質が類似している族を9マスから成る基本構造(セル)とし た。図1に
フラクタル元素表のセルを示す。セル内では、各族の元素は原子番号の小さいものからマス
に記載した番号順に配置される。次にそれらセルをフラクタル構造を形成するように配置して、フラクタル元素表を作成した。
・
図2にフラクタル元素表を示す。第0〜3層
から成る。第0層(中心部)はハドロン、第1層
はハドロンに近い元素、第2層はs、pブ
ロック元素、典型元素、第3層(周辺部)はd、f、gブ
ロック元素、遷移元素である。
- 第0層:
ハドロン
- 第1層:
ハドロンに近い元素
- 第2層:s、pブ
ロック元素、典型元素
- 第3層:d、f、gブ
ロック元素、遷移元素
・
第1層の水素とヘリウムは最も電子が少なく単純で最もハドロンに近 い元素である。
・
水素は奇数電子、ヘリウムは偶数電子を象徴する。
・
典型元素と遷移元素で原子価の類似したものは近接している。
・
典型元素は遷移元素によって分断されることなく、第1、2層
に集まっている。
・
アルカリ金属と希ガスのセルが接していて、それぞれの周期が連続している。
・
ランタノイド、アクチノイドが他の元素と同じ表に記載されている。
(2)
原子核の性質
・
図3に存在比が最も大きい安定同位体がマジックナンバーを持つ元素
を黄色で示し、超ウラン元素以外の人工放射性元素を青色で示す。
・
存在比が最も大きい安定同位体がマジックナンバー(2、8、40、50、82、114)
を持つ元素が表の左下と右上を結ぶ対角線に平行に並んでいる。
・
超ウラン元素以外の人工放射性元素が表の右部中段に集中している。
・
表の左下と右上を結ぶ対角線に平行でNiを通る線の近傍に、原子番 号126、146、160、162の
元素があり、これらの番号はマジックナンバーの可能性がある。
(3)
素粒子の配置
・
図4はフラクタル周期表の中央に位置するハドロンに関係する素粒子
をセルに配置した表である。セルの左列と右列は標準理論で言及されている素粒子である。セルの対面に位置する粒子同士は関係がある。ハドロンはクォークが
強い力で結びついた粒子である。中性子は弱い力により陽子に変化する。ハドロンから成る原子核と電子は電磁気力により原子を構成する。重力子と超対称
性粒 子は超ひも理論で言及されている素粒子である。
・
フラクタル元素表は、電子配置に起因する元素の化学的性質と原子核の殻模型に起因する特性の両者を反映している。
Figure
1 The cell in the fractal table of elements.
Figure
2 The fractal table of elements
red:
0th layer, orange: 1st layer, yellow: 2nd layer, green: 3rd layer.
Figure 3 The elements whose stable isotopes with the highest abundance ratio have magic numbers are shown in yellow, and artificial radioactive elements other than transuranium elements are shown in blue.
Figure 4 The elementary particles
related to hadrons.
Hidekazu Ido
wellchemlab(atmark)yahoo.co.jp